| 一人芝居で会話劇コメディ |
MITANI
*Koki
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僕の書くコメディは、基本的には会話劇です。会話とはつまりは人間関係。人と人との繋がりの中から、自然に発生してくる「笑い」が、一番面白いと考えるからです。
今回の一人芝居も会話劇です。
戸田恵子さんしか出て来ないのに、どうして会話劇?と思われる方もいらっしゃるでしょう。別に戸田さんが落語のように、何役も演じるわけではありません。
実は彼女の他にも、この物語には様々な人物が登場します。そして彼女と会話します。ただ、その姿は客席からは見えませんし、もちろん声も聞こえません。
よく一人芝居で見かける、相手の言ったことを反復することで一人でも会話しているように見せる手法も、ここでは用いません。
「よう、元気か。なに、元気じゃない?どうした。風邪引いた?なんで?夕べ、風呂上って、その後でテレビ観ながら、そのまま、コタツで寝ちまったって?馬鹿、お前、そんなことしたら風邪引くに決まってるだろ」
みたいな不自然な台詞は出て来ません。
ではどんな手を使ったかと言うと、つまりは、戸田さんの台詞とリアクションだけで、相手が何を言ったかを想像させるわけです。例えばこんな感じ。
| 戸田 |
「あら、元気にしてはりました?」 |
| 相手 |
「(何か言う)」 |
| 戸田 |
「(心配して)どないしたんです。」 |
| 相手 |
「(何か言う)」 |
| 戸田 |
「そんな、風邪ひくに決まってるやないですか。この季節、風呂上りに、そないなところで寝たら。おまけにそんなもん付けっぱなしで。電気代もったいないわ」 |
つまりは観ている人に、この季節(冬)に風呂上りで寝てしまう「そないなところ」といえば、やっぱりコタツかなあ、コタツで寝て「付けっぱなし」といえば、たぶんテレビだろうなあ、たぶん相手はそんなことを言ったんだろうなあ、と想像してもらうわけです。
別に今回編み出された手法でも何でもなくて、イッセー尾形さんの作品などではお馴染みの方法ですね。
今回、僕はそれに加えて、新たな課題を自分に設けました。戸田さん以外の登場しない「登場人物」をいかに魅力的に描けるか。
出てきて彼女と会話するだけでは面白くありません。僕の作品はだいたい、サブキャラクターが目立つ傾向にあります。周りの人物が面白く描けたら、結果的に主人公も生きてくると思うからです。
今回も同じことです。
では、お客さんに見えない、声も聞こえない人たちを、どうやって魅力的に描くことができるのか。
最近ようやく分かってきたことがあります。「魅力的」な登場人物って、「魅力的」な台詞を喋るから「魅力的」なんじゃない。彼(彼女)の存在そのものが「魅力的」だから、観ている人は引き込まれるんだって。他の作家さんはとっくに気づいていることかも知れないけど、僕はこの仕事を始めて二十年目にして、ようやくそこに辿りつきました。声が聞こえなくても、姿が見えなくても、その「存在」が人の心を打つものであるならば、彼らは十分魅力的なはずなのです。
声も聞こえず、姿も見えないのに、彼らがどうやって魅力的に「存在」するかについては……、後は、実際に舞台をご覧になってみてください。
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